満喫太郎
二日目、日曜日。お陽様は出ている。
朝食をとって朝風呂に入って、さてどうしよう。
女将さんから今日の予定を聞かれた。
いや…特に何も…(笑)。
近所をゆっくり散歩するのもいいけれど、それは昨年やった。
とりあえず車に乗って音楽をかけてゴウ!
ナビをオフにして走ってみる。緑に囲まれた道をズンズン進む。
どこの町に入ったかもわからない。途中に出てくる「ナントカの滝」やら「ナントカ山」やら、磨崖仏とか。
良い景色の見えるところでは車を止めて、煙草をキメて格好つけたりして(笑)。
勿論趣味は「考え事」なので今回も色々考えたのだけど、今までと少し変わってきたのは、心がヒリヒリするような思いをあまりしなくなったってこと。
その孤独感からくるヒリヒリは、それはそれで楽しかったのだけど。
ひとりで非日常を楽しんでいるなかにいると、誰かと急に話したくなったり、そんな気持ちがぼんやりと浮かんできて、携帯電話のアドレス帳を眺めては画面を閉じたり、なんて事を繰り返していたのだけど。
なんか今回はそんなのは無くなっていた。
かといって心が荒んでいるわけでもなく、至って穏やかに。まあ相変わらず一人の時はしかめっ面ですけどね(笑)。
お昼になっても腹は減らず。行きたいところも見つからず。
ちょっとカンニングで「ナントカの滝」を目指してみる。
お土産屋さんや大駐車場もあって、見事に観光地化しているけど、ひとはまばら。
展望台も私一人だ。
ちょっと見てすぐに出ようとすると気になる誘導看板が。
そこに車で向かっていくと、人っ子ひとりいない駐車場が出てきた。
キャンプができそうな小さな森を抜けるとこれまた小さな展望台。
そこから見下ろす先に見たのが、タイムラインの写真にアップした明治時代の発電所跡。
ちょっとここでは見入ってしまった。
かなりの時間をドライヴに費やしてしまった。
それでも好きな音楽を一日中聞いて、向かいたい方向に向かって、私にとっては本当に重要な時間。
いくつかの市街地を通って、偶然宿泊地の近くまで来てしまったのは夜になって。
本当に何も起こらなかったので、この日記もあまり面白くはないかも知れないけれど、「脅迫されたような観光」では無かっただけに書き留めたかったのですよ。
後半は曇が多くなったけど、駐車場で車から降りると雲の隙間からは見事な月と星が。
最終的にはこういう所に住みたいなあ。
とか言っていざ住みだすと、やれコンビニが無いだの、おネエちゃんが全然いないだのブーブー言っているのでしょう。
簡単にさつま揚げを食べて、温泉に。
結構心地よい疲れを感じていたので、すぐに眠れた。
そしてこれまた久しぶりに「自分に子供が出来て、抱っこしている夢」を見てしまった。
その寂しさで目覚める三日目に続く。