私は二年 あの子は一年
市街地へ戻ったのは昼過ぎ。
特に予定は無かったのだけれど、レンタカーの返却は夜だ。暫くドライブ。
小学校の低学年まで住んでいた町へ。ここへは昨年も来たので、シミジミする事もあまりなく、何となく走らせていると、一つの看板が。
「〇〇ラーメン」、もしや…。
生まれて初めて「出前」というものを知った頃、土曜の昼は時々家族でとっていたラーメン屋さんと同じ名前だ。場所も同じ。お店のラーメンを初めて食べたのもここで、私にとっては原体験の味。
とっさに車を停めて、店内へ。店構えはもはや覚えていないが、ご主人の年恰好からしても、明らかに当時から続いているようだ。
カウンターへ座ると、奥さんと娘さんらしき女性が対応してくれた。
後から「ネットで見た」とかいう数人のグループが大声で話しながら入ってくる。
少し粘り、彼らが帰るのを待ち、恐る恐る聞いてみる。
間違いなかった。そして娘さんは私の一学年下。小学校の後輩だった。
何とかして共通の人物を割り出してみると、二人ばかり出てきた。ひとりは一年生で同じクラスだったトリイ君。ピアノと歌がうまい子だった。
もうひとりは酒屋さんの娘のトモミちゃん。私より背が高くて、地区の運動会で一緒に撮った写真も残っている。
他にも当時にはあったスーパーマーケットやたこ焼き屋さん、お寿司屋さんや養魚場などの話で盛り上がる。
元々知っていたわけではなく、ここで未だに当時からお付き合いが続いている人もいない。
それでも、初対面(当時は知らずに会っていたかもしれない)の同じ小学校で一学年下の人と、まるで同窓会でするような話をしている。
ご両親である店長さんとおかみさんも喜んでくれた。
最後はお店の前で皆で記念写真。
ずっと娘さんが手を振ってくれた。また行こうっと。
そして田舎道をぐるぐる回り、みそぎ池へ。公園内を森林浴をしながらかなり歩く。
誰もいない。音もしない。
別に禊をするつもりではなく(笑)。どうしてもここは見ておきたかった。
昼食をとって間もなく例のラーメン屋さんでも食べたので、お腹がふくれた。
夜になっても腹は減らず、その日はホテルの温泉に入っておしまい。
二日目終了。明日は列車で北上。